飼育の基本TM-15
水合わせのやり方|温度合わせと水質合わせ、点滴法とコップ法の手順と時間、エビ・メダカ・金魚の注意
水合わせは、袋を浮かべて温度をそろえ、水槽の水を少しずつ足して水質に慣らす作業です。エビは点滴法で時間をかけます。
この記事の内容(16項目)
結論:水合わせはどうすればいい?
水合わせは、袋を浮かべて温度をそろえ、水槽の水を少しずつ足して水質に慣らします。最後は生き物だけを網ですくい、袋の水は捨てます。
水合わせは、店の水から家の水槽の水へ、生き物を少しずつ慣らす作業です。店の解説もメーカーの資料も、新しい生き物を入れるときの基本として勧めています。
迷いやすいのは時間です。資料には「30分」「1時間」「2時間以上」と幅があります。どれに合わせるかで迷いやすいところです。
この記事で分かることです。
- 温度合わせと水質合わせの違い
- コップ法と点滴法の手順
- 時間の目安と、長くかけるべき場面
- 袋の水を水槽に入れない理由
- エビ・メダカ・金魚の水合わせ
- 買ってきた日にすること
まず、このページの早見表です。水合わせの時間を、生き物と水の差で選びます。
| 場面 | 温度合わせ | 水質合わせ | 方法 |
|---|---|---|---|
| 丈夫な小型魚。店と家の水が近い | 袋を浮かべて30分ほど | 水を足して30分ほど | コップ法 |
| エビ・水の変化に弱い魚 | 袋を浮かべて30分ほど | 一滴ずつ40〜60分ほど | 点滴法 |
| 店と家の水温の差が10℃を超える | 時間をかけて少しずつ | 合わせて2時間以上 | 点滴法 |
ポイントはここです。水合わせは、差が大きいほど、生き物が弱いほど、時間をかけます。
水合わせとは?温度合わせと水質合わせは何が違う?
水合わせは、温度合わせと水質合わせの2つでできています。温度合わせは水温をそろえる段、水質合わせは水の中身に慣らす段です。
| 温度合わせ | 水質合わせ | |
|---|---|---|
| 合わせるもの | 水の温度 | pH(酸性・アルカリ性の度合い)や、水に溶けているもの |
| やり方 | 袋を閉じたまま水槽に浮かべる | 水槽の水を少しずつ足す |
| 時間の目安 | 30分ほど | 30〜60分ほど。弱い生き物はもっと長く |
| 省くと | 急な温度の変化で弱る | 急な水の変化で弱る |
水温は、手で触れても差が分かりにくいものです。袋を浮かべておくと、袋の中の水が水槽の水温に近づきます。
水の中身は、店ごと、家ごとに違います。水合わせは、温度を先にそろえ、そのあと水の中身に慣らす順番で行います。
水合わせをしないと、どうなる?
水合わせをしないと、急な水温や水質の変化で、生き物が弱ることがあります。フロリダ大学の資料は、急な温度の変化が魚に大きな負担になるとしています。
フロリダ大学(UF/IFAS)の資料は、魚を運んだあとの水合わせについて書いています。
- 運んだ水では、二酸化炭素がたまってpHが下がりやすい
- 水温とpHが上がると、アンモニアが害の強い形に変わる
- 水槽の水を少しずつ足し、急な温度とpHの変化を防ぐ
- 水温の差が大きいときは、2時間以上かけて慣らす
東京アクアガーデンの解説も、弱ったり病気になったりする原因になるとしています。水合わせの手間は、入れた直後に弱らせないための保険です。
水合わせの温度合わせは、何分浮かべる?
温度合わせは、袋を閉じたまま水槽に30分ほど浮かべます。GEXの資料は30分ほど、東京アクアガーデンは30分〜1時間としています。
温度合わせの手順です。
- 水槽の照明を消す
- 袋を閉じたまま、水槽の水面に浮かべる
- 袋が沈んだり倒れたりしないよう、ふちに寄せる
- 30分ほど待ち、袋の中と水槽の水温をそろえる
米国の専門店 Aquarium Co-Op は、袋を閉じたままなら10〜15分としています。水温をそろえるのが目的です。
通気する素材の袋の場合は、水槽に浮かべずに、ふたの上に30〜60分置くとしています。袋の種類が分からないときは、買った店で聞いておくと迷いません。
照明を消して部屋を暗めにすると、慌てて泳ぐ魚も落ち着きます。袋は日の当たらない場所に浮かべてください。
コップ法の水合わせは、どうやる?
コップ法は、生き物を袋の水ごと容器に移し、水槽の水をコップで少しずつ足す方法です。道具が少なく、丈夫な魚に向きます。
Aquarium Co-Op の手順を、日本の家にある道具に置き換えて並べます。
- 温度合わせのあと、袋の水ごと生き物をバケツや容器に移す
- 水槽の水を、容器の水と同じくらいの量だけ足す
- 15分たったら、また同じくらいの量を足す
- 10分たったら、もう一度足す
- 生き物だけを網ですくって、水槽に移す
容器の水があふれそうなら、途中で少し捨てます。足すたびに水の量が倍になるので、3回足すと、容器の水の大半が水槽の水になります。
東京アクアガーデンの解説は、コップのほか大きなスポイトで足す方法も紹介しています。容器は、水槽の水と同じくらいの温度を保てる場所に置きます。
点滴法の水合わせは、どうやる?
点滴法は、細いチューブで水槽の水を一滴ずつ容器に落とす方法です。時間をかけて少しずつ水を替えられるので、エビや水の変化に弱い魚に向きます。
GEXのレッドビーシュリンプの資料にある道具です。
| 点滴法の道具 | 使い方 |
|---|---|
| エアチューブ | 水槽から容器へ水を送る細い管 |
| キスゴム | チューブを水槽のふちに留める吸盤 |
| 一方コック | 落ちる水の量を絞る栓 |
| バケツなどの容器 | 水槽より低い位置に置く |
点滴法の手順です。
- 温度合わせのあと、袋の水ごと生き物を容器に移す
- チューブの片方を水槽に入れ、キスゴムで留める
- もう片方を吸って水を流し、容器の上で止める
- コックか、チューブを結んで、ぽたぽた落ちる量に絞る
- 容器の水が増えたら、3分の1ほど捨てて続ける
- 水が十分に混ざったら、生き物だけを水槽に移す
東京アクアガーデンの解説は、捨てて足す流れを3〜4回くり返すとしています。点滴法の所要時間は、40〜60分ほどと書いています。
点滴法は、水の落ちる速さで時間が決まります。速すぎると、コップ法と変わらなくなります。
水合わせの時間は、全部でどれくらい?
水合わせの時間は、丈夫な魚なら全部で1時間ほどが目安です。水温の差が大きいときや弱い生き物は、2時間以上かけることもあります。
資料ごとの時間を並べます。
| 資料 | 温度合わせ | 水質合わせ | 書かれている条件 |
|---|---|---|---|
| GEX(熱帯魚) | 30分ほど | 書かれていない | 水の変化に弱い魚は点滴法などで長く |
| 東京アクアガーデン | 30分〜1時間 | 30〜60分。点滴法は40〜60分 | エビや敏感な魚は点滴法 |
| Aquarium Co-Op | 閉じた袋は10〜15分 | コップ法で25分ほど | 通気する袋は30〜60分 |
| フロリダ大学 | 少しずつ | 2時間以上 | 水温の差が10℃を超えるとき |
数字に幅があるのは、前提が違うからです。店と家の水温の差、生き物の弱さ、方法の3つで、表のどこに当たるかを選びます。
水合わせを長くしすぎると、容器の水が冷えることがあります。冬に長くかけるなら、容器を水槽のそばに置き、水温を時々見ます。
袋の水を水槽に入れないのはなぜ?
袋の水には、生き物のフンから出た汚れや、店の水槽の菌が入っているからです。最後は生き物だけを網ですくって移します。
袋の水を入れない理由は、資料によって挙げ方が少し違います。
| 理由 | 資料 |
|---|---|
| 袋の水には色々な菌が入っている。弱っている生き物には持ち込まないのが基本 | 東京アクアガーデン |
| 袋の中にアンモニアと二酸化炭素がたまる。開けるとpHが上がり、アンモニアがエラに害の強い形になる | Aquarium Co-Op |
| 水温とpHが上がると、アンモニアは害の強い形に変わる | フロリダ大学 |
GEXの資料のように、袋の口を開けて水を混ぜ、魚が自分で出ていくのを待つ方法もあります。袋の水が少し水槽に入る形です。
長く運ばれた生き物や、病気を持ち込みたくない水槽では、袋の水を入れない形のほうが安心です。
網ですくうときは、容器の上で水を切ってから移してください。網に残った水も、袋の水と同じです。
エビの水合わせは、なぜ時間をかける?
エビは、水温や水質が急に変わるのが苦手な生き物だからです。GEXの資料は、いきなり移すとエビが弱ったり死んだりすることがあるとしています。
エビの水合わせに時間をかける理由です。
- 環境の変化に弱いと書く資料がある(レッドビーシュリンプ)
- 殻を脱いで育つ(脱皮)ので、殻を作る水の中身が大事
- 薬品に敏感だと書く資料がある(ヤマトヌマエビ)
Aquarium Co-Op は、エビが新しい殻を作るには水のミネラルが要るとしています。脱皮のしくみは、フロリダ大学の資料も書いています。
このサイトで扱うエビ・貝の水温とpHの好みです。
| 魚・エビ | 水温 (℃) | pH | 泳ぐ層 |
|---|---|---|---|
| ミナミヌマエビ | 23〜28 | 6.5〜7 | 底層 |
| レッドチェリーシュリンプ | 16〜28 | 6.5〜8.5 | 底層 |
| ヤマトヌマエビ | 20〜28 | 6.5〜7.5 | 底層 |
| 石巻貝 | 10〜28 | 7 |
出典(4件)
エビは、点滴法でゆっくり水を替えます。エビの水合わせは、何分で終えるかより、一滴ずつの速さを保つことを大事にします。
エビと一緒に飼う魚の相性は、エビの混泳で扱います。
メダカや金魚の水合わせは、熱帯魚と違う?
メダカや金魚も、温度合わせから水質合わせへの順番は同じです。違うのは水温で、ヒーターを使わない水槽なら、季節で水温が大きく変わります。
メダカと金魚は、ヒーターが要らない魚です。熱帯魚と並べると、好む水温が違います。
| 魚・エビ | 水温 (℃) | pH |
|---|---|---|
| ネオンテトラ | 21〜25 | 4〜7.5 |
| グッピー | 17〜28 | 7〜8.5 |
| メダカ | 16〜22 | 6.5〜8.5 |
| 金魚 | 20〜24 | 6.5〜7.5 |
出典(4件)
GEXのメダカ向け水槽の資料は、とくに水温をしっかり合わせて入れるよう書いています。ヒーターの無い水槽は、部屋の温度につれて水温が変わります。
袋を浮かべる前に、水槽の水温計を見ておきます。店の水温と差が大きそうなら、点滴法で時間をかけます。
メダカと金魚の相手選びは、メダカの混泳と金魚の混泳にまとめています。
買ってきた日は、水合わせのほかに何をする?
買ってきた日は、様子見の水槽を使うか決め、照明を落とし、エサを少なめにします。入れたあとは、泳ぎ方と呼吸を見ます。
フロリダ大学の資料と、メーカーの資料をもとに並べます。
| すること | 理由 | 資料 |
|---|---|---|
| 水槽の準備を先に済ませる | 水温が適温になった水槽に入れる | 東京アクアガーデン |
| できれば別の水槽で様子を見る | 白点病などを本水槽に持ち込まない | フロリダ大学 |
| 照明を消し、部屋を暗めにする | 慌てて泳ぐ魚が落ち着く | Aquarium Co-Op |
| エサは食べ切れる量だけ | 食べ残しは水を汚す | GEX |
| エアレーションをする | 酸素の足りない状態に弱い生き物がいる | 東京アクアガーデン |
フロリダ大学の資料は、新しい魚を30日以上、別の水槽で様子を見るよう勧めています。様子見の水槽に入れるときも、同じように水合わせをします。
入れた日は、何度も水槽をのぞき込まないでください。落ち着くまで、そっとしておくのがいちばんです。
水合わせでよくある失敗は?
水合わせでよくある失敗は3つです。温度合わせを短くする、袋の水ごと入れる、点滴が速すぎる、です。
| よくある失敗 | 何が起きるか | 代わりにすること |
|---|---|---|
| 袋を浮かべてすぐ放す | 水温の差が残る | 30分ほど浮かべる |
| 袋の水ごと水槽に入れる | 汚れや菌を持ち込む | 生き物だけを網ですくう |
| 点滴が速すぎる | 水の変化が急になる | ぽたぽた落ちる量に絞る |
| 袋を日なたや照明の下に置く | 袋の中が熱くなる | 照明を消し、日の当たらない所で |
| 長くかけて容器の水が冷える | 水温の差がまたできる | 水槽のそばに置き、水温を見る |
| 水合わせ中に容器の酸素が減る | 酸素に弱い生き物が弱る | エアレーションをする |
水合わせで迷ったら、急がない側を選ぶと失敗が少なくなります。 ただ、容器の水温と酸素だけは、長くかけるほど気をつけます。
水合わせの話に出てくる用語は?
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 水合わせ | 新しい生き物を、水槽の水温と水質に少しずつ慣らすこと |
| 温度合わせ | 袋を浮かべて、袋の中と水槽の水温をそろえること |
| 水質合わせ | 水槽の水を少しずつ足して、水の中身に慣らすこと |
| 点滴法 | チューブで水槽の水を一滴ずつ落として慣らす方法 |
| コップ法 | コップやスポイトで、水槽の水を少しずつ足す方法 |
| pH | 水の酸性・アルカリ性の度合い。7が中性 |
| アンモニア | フンなどから出る、魚に害のある物質 |
| エアレーション | 空気を送って、水に酸素を溶かすこと |
| 脱皮 | エビが古い殻を脱いで大きくなること |
| 様子見の水槽 | 新しい生き物を、本水槽に入れる前に別に飼う水槽 |
水合わせと一緒に押さえることは?
水合わせは、入れる生き物と、今いる生き物の相性とつながっています。入れる前に、次の記事で相手を確かめてください。
- エビを入れる:エビの混泳
- メダカを入れる:メダカの混泳
- 金魚を入れる:金魚の混泳
- 23種まとめて:熱帯魚の混泳 相性表
水合わせでよくある質問は?
水合わせは何分くらいかかりますか?
丈夫な魚なら、温度合わせに30分ほど、水質合わせに30分ほどが目安です。エビや弱い魚は、点滴法でもっと長くかけます。
水温の差が大きいときは、2時間以上かけることもあります。
水合わせをしないとどうなりますか?
急な水温や水質の変化で、弱ったり病気になったりすることがあります。とくにエビは、変化に弱い生き物です。
少なくとも温度合わせは、どの生き物にも行います。
メダカに水合わせは要りますか?
要ります。GEXの資料も、とくに水温をしっかり合わせてから入れるよう書いています。
ヒーターの無い水槽は、季節で水温が変わるので、温度合わせを丁寧にします。
点滴法とコップ法は、どちらがいいですか?
エビや水の変化に弱い魚には、点滴法が向きます。丈夫な小型魚なら、コップ法でも合わせられます。
迷ったら、時間をかけられる点滴法を選びます。
袋のまま水槽に入れていいですか?
温度合わせのあいだは、袋を閉じたまま浮かべます。放すときは、生き物だけを網ですくいます。
袋の水は、水槽に入れずに捨てます。
水合わせのあと、すぐエサをあげていいですか?
入れた日は、食べ切れる少しだけにします。食べ残しは水を汚すからです。
落ち着いて泳ぎ出してから、少しずつ量を戻します。
出典
- UF/IFAS EDIS FA119: On-Farm Transport of Ornamental Fish(運んだ水の二酸化炭素とpH・水温とpHが上がるとアンモニアが害の強い形になる・水槽の水を少しずつ足す・急な温度の変化の害・水温の差が大きいときは2時間以上)
- UF/IFAS EDIS FA006: Ichthyophthirius multifiliis (White Spot) Infections in Fish(新しい魚は30日以上様子を見る)
- UF/IFAS EDIS FA124: The Ornamental Fish Trade(入れる前の様子見・水に慣らしてから放す)
- UF/IFAS EDIS IN1301: Cherry shrimp(脱皮して育つ)
- GEX:お店でお魚を買ってから、家の水槽に放すまでの注意点(袋を30分ほど浮かべる・袋の口を開けて水を混ぜ魚が出るのを待つ・水の変化に弱い魚は点滴法など)
- GEX:大人気!レッドビーシュリンプを飼おう!(30分の温度合わせ・点滴法の道具と手順・いきなり移すと弱ったり死んだりする)
- GEX:これで安心。スタートしてから半年までに(水合わせ、とくに水温を合わせてから入れる・袋の水ごとバケツに移し水槽の水を少しずつ足す)
- GEX:【コケ種類別】熱帯魚飼育におすすめのコケ取り名人(エサが多すぎると水が汚れる)
- 東京アクアガーデン:熱帯魚・観賞魚の水合わせ方法(30分〜1時間浮かべる・水質合わせ30〜60分・点滴法は40〜60分・3分の1捨てて3〜4回・袋の水の菌・エビは点滴法・酸欠に弱い生き物にエアレーション・しないと衰弱や病気の原因)
- 東京アクアガーデン:ヤマトヌマエビ(薬品に敏感)
- Aquarium Co-Op: How to Acclimate New Aquarium Fish(閉じた袋は10〜15分・通気する袋はふたの上に30〜60分・コップ法の手順・袋の中のアンモニアと二酸化炭素・暗くすると落ち着く)
- Aquarium Co-Op: Cherry Shrimp Care(新しい殻を作るには水のミネラルが要る)